彼の事が好きすぎる私。
「花梨……」
亮は花梨をなだめようと手を伸ばした。
「触らないでっ!」
ぱしっと亮の手を花梨は弾く。
「先輩最低っ!先輩だから花梨を託したのに……なんで……」
亜果利も花梨を抱き締めながら反抗する。
「そりゃあ最低ですもんねぇ、なんてったって亮ちゃんはあんた達が思っているような優しく先輩なんかじゃないんだから。亮ちゃんは初めからドSだったもんねぇ。昨日のベッドの中だってそうだったし……」
「香苗っ……!」
ぱしっと乾いた音が響く。
香苗を殴ったのは亜果利だった。
「花梨の分よ」
「友達思いなのね」
「花梨行こう」
「待ちなさいよ、私の名前は南香苗。この近所の高校に通ってるわ。それと亮ちゃんの元彼女」
「彼女なんかじゃねぇ!お前なんか好きにもなったことねぇよ!」
「……先輩」
花梨の微かな声が響く。
「先輩が好きです、って言ってくれたり、家まで送ってくれたり、ご飯一緒に食べてくれてりしてくれたのは私は本当に嬉しかったです。……でもそれは偽りだったんですか?」
亮から言葉は発せられなかった。
「……そうですか。わかりました」
花梨と亜果利はこの場を去っていった。