彼の事が好きすぎる私。
「先輩っ……離して下さいっ!」
「嫌だ」
絶対に手放すものか。
「だってっ……!私は香苗さんを避けるための仮の彼女だったんですよね!?だったらっ、私の事はもう……」
腕の中でもがく花梨を必死に落ち着かせる。
「花梨、お願いだ話を聞いてくれ」
「聞きたくありません……!」
「お願いだ、1つ昔話をさしてくれないか」
ぴたっと花梨の動きが止まった。
「いい子だ。じゃあ始めるぞ。あれは12年前の事だ」