彼の事が好きすぎる私。
「はい、実は私の初恋の相手もその男の子だったりします」
そうだ、だから会ったことがあるような気がしたのだ。
「甚平を着て私の手を握ってくれた男の子。名前は思い出さなかったんですけど……そっかぁ、先輩だったんですね」
クスクスと花梨は笑う。
「そっかそっかぁ……」
なんだか可笑しくてたまらない。
「花梨……」
「先輩……私は先輩と付き合えて嬉しかったです。憧れの先輩が私に告白してくれた事だけでも幸せだったのに、その後の日々はもっと幸せでした。でも先輩が……違う人といるとき、私はとても悲しかった……」
「違うんだ!あれは香苗が突然帰りにやってきて……それでうざかったからなんか飲ませて寝かせようと……いや、ほんと!何にもしてない!」
「何飲ませたんですか?」
「桃ジュースに媚薬混ぜたもの。友達から前貰った」
なんでそんなものを、と思う前に亮がこんなにも必死に言っていることが嘘に思えなかった。
「本当ですか?」
「あぁ本当だ。……信じてくれるかわからないけどな」
はぁっと亮は溜め息をつきそして花梨に向き合う。