ささくれとレモネード
両腕を組んでいた相手は、おや、という顔をしながらもすぐに会釈をしてきた。
榛名もすかさず頭を下げる。
「悪いね、二人とも」
そう言って先生は呼び出した理由を説明した。
二人が体育を欠席した日に、体力テストの短距離走を行ったのだという。
明日には業者にデータを送るから、今日中にタイムを取ってほしい、と。
そういうことかと、榛名は胸を撫で下ろす。
それを脇目に、先生は言いにくそうに呟いた。
「すぐ終わるだろうし、二人でも出来るわね。三浦くんは、どう?足、大丈夫?」
榛名はふと隣を見上げる。
彼は三浦という人なのか。
足大丈夫なのかって、どういうことだろう。
視線に気づいたように三浦は腕を解いて、
「ああ、うっす」
と、返事をした。
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