ささくれとレモネード
校門を出るとY字路が現れて、そこを右手に進むとやがて細い道が見えてくる。
その突き当たりにある第二グラウンドのフェンスを、三浦は軽々と乗り上げた。
榛名の顔が引きつったのをよそに、三浦は鍵を内側から開ける。
錆びた門がくたびれたような音を上げて開いた。
そのまますたすたと物置の方へと向かった三浦は慣れた手つきでライン引きを運び、ようやく門をくぐった榛名の元へ戻ると、
「手伝ってくれる?」
そう言ってメジャーを手渡した。
榛名が、メジャーを0のところで地面に押さえつける。
すると三浦はもう片方を持って、垂直にそれを伸ばし一定の位置で印をつけた。
その印を頼りに、今度は石灰のライン引きを躊躇いもなく進めていく。
あっという間にできてしまった3コース。
唖然としていた榛名に、三浦は「さ、始めるぞ」と声を掛けた。