ささくれとレモネード



完璧に意味を捉え違えていたことに気付くと、嫌でも顔に出てしまうのは子供の頃から変わっていない。


素直に赤くなったその顔を見て、三浦は首を傾げたがすぐに笑った。


声をあげて笑っていた。そんなのは初めてだった。



砂を噛みたいほど恥ずかしいはずなのに、その顔を見ればちゃらにしてやっても良いと思っているなんて、榛名は少しも自覚したくはなかった。



数時間前のことを思い出しながら、もう一度目の前の液晶を覗いた。


何度見ても、やはり彼らしい簡潔な文章だった。






ロールアップしたデニムにシフォンのブラウス。軽く巻いた髪は横にまとめた。



鏡の前にいるのはいつも3秒も経たないのに、左右を確認するたび髪がふわりと揺れている。


そこで鏡に映る表情に、はっとした。


「浮き足立ってる」


ため息混じりに呟いてだらしのない頬を摘むと。


「おでかけするの?」


ドアの隙間から覗いていたのは可愛い天使だった。


「こはるもおでかけいく!」


純真無垢な目を輝かせ、到底敵わないような微笑み。妹に従順な姉は、首を横に振ることなど出来なかった。


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