*Promise*~約束~【完】

おとぎ話



神様はこの世界を創った際に、人間と共に天使を創った。神様は人間の心の闇を恐れたためであり、闇は争いを生む根源であるとされ人間同士の殺し合いを懸念したのだ。天使は人間の心の闇を取り払い、その闇を浄化することによって活力を得ていた。

しかし、天使たちはそれに快感を覚え、いつしか人間に意図的に悪意を持たせるようになった。恨みや憎しみを増幅させ、依存症のごとくもっと、もっと……と人間に闇を囁いた。


その天使は黒に染まり、堕天した。


堕天した天使たちは闇に染まった。その天使たちを皆、悪魔と呼んだ。高貴な天使から堕ちた悪魔は、浄化することができなくなり快感を得られなくなったが、今度は闇を巣食わせることに快感を覚えるようになった。

さらには人間界に侵入し、恨みを持っている人間をそそのかして闇を広げるようになってしまった。


そして、天使と悪魔は敵対関係となってしまった。もとは同胞だったにも関わらず、悪魔の悪戯を天使はひたすら消して回った。その結果、悪魔は増える一方となってしまった。自らの意志に反して堕天する者が現れてしまい、その悪魔は弱いとされ悪魔に従う使い魔となった。

使い魔は力が弱かったがあまり毒されていないため賢かった。使い魔は悪魔の従順なペットとして飼われ、命令をされれば素直に従った。それには理由があり、使い魔は悪魔に逆らえないようになっているからだということがある。なぜかはわからないが、使い魔は悪魔の命令には絶対なのだ。


悪魔が現れ始めた頃、人間はある種の身分を生み出した。それはバラモンと言って、要は司祭を示している。司祭は儀式をして悪魔を祓うことができ、その方法はバラモンしか知らないため崇拝されるようになり、いつしかその地位は王様よりも上になった。

バラモンは裏で人間を悪魔の手から護る役目を請け負い、その役目を庶民が実感することはなかった。そのためか、庶民はいつしかバラモンの存在を忘れ王様が最高位だと認識した。


悪魔から人間を護るバラモン。それを知らない人間。

悪魔を押さえようとしている天使。悪事を働く悪魔。それに仕える使い魔。



今日も世界は護られ脅かされ、悪戯にその時の流れに身を任せている。



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