当て馬ならし
庭にでる渡り廊下を
歩いているところで、
向こうが何やら
騒がしいのに気が付いた。

数人の着飾った女性が
長身でローブをまとった男性を
囲んで黄色い声を上げている。

何事かとみていると
ハトナが微かに
眉間に皺を寄せていた。

着飾った集団の身なりからすると
もしかして、
花嫁候補者なのだろうか?

その疑問をハトナに向けると
「ええ」と肯定して、
やれやれというふうに
首を小さく振る。
傘を持ってくれていた若いメイドが
「まったく!!
 あの方たちは、二日前から
 いらっしゃってる方々で
 トラブルになるから
 他の方との接触は
 控えてくださいって
 言ってるのに
 こんな機会めったにないからって
 好き勝手し放題なんです!!
 顔見知りだからって
 勝手に徒党を組んで、
 課題もおつきの人に任せて
 自分たちはああやって
 遊びほうけてるんです!!」

きっといろいろ不満が
積み重なっているんだろう。

若いメイドは
目をパチパチさせながら
口をとがらせて
タコのような顔になって
愚痴を言う。
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