当て馬ならし
青が混じった瞳が
氷のように冷たく私をにらんだ。

そして苛立たしげに眉間に皺をよせて

「あんたもか・・・」

長身からの高低差をいかした
文字通りの見下し

蔑み歪む唇から吐き出される言葉は
昨夜の面倒くさがりながらも
優しく対応してくれた人とは
まるで別人で
呆けたようにただ見つめる私を
彼は鼻で笑い飛ばし

「必死だな・・・」
そういって、胸元を覗く
「俺に媚を売っても無駄だから」

あからさまに向けられる敵意
驚きの次に来たのは突然の侮辱
心を覗く余裕もない

去っていく黒いローブが風になびく
その黒い風に当てられたように
私はベンチにヘナヘナと腰を下ろした・・・
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