当て馬ならし
ドレスはすっかり雨に濡れて
肌に張り付く。

雨脚が少しでも収まったら
部屋に帰ってお風呂に入るんだ。

後ろにいる
ローブが真っ黒なら腹も真っ黒王子
の事は忘れて
ゆっくりアル王子の事をかんがえるんだ。

そう思って裾の水を絞る

ぼたぼた!と水は落ちるけど
乾くわけじゃなくて
時折舞い込む風がまた雨粒をぶつけてくる
「うわぷっ!」
丁度風が入り込む方向だったのかぁ・・・
しぼっても結局また濡れてしまうので
諦めて、ただ降り続く雨を
呆然と見ていた。

「はっくしゅん!」
ひぇ・・・風が体温を奪うのか
冷えてきたのか一瞬震える

はやく、雨が弱くなんないかなぁ
あぁ、どうせ濡れるならもう
強行突破もありなのか?
と思っていた時

「おい」
後ろから低いあの声が聞こえた・・・
< 126 / 437 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop