当て馬ならし
なりふり構わない全力疾走

跳ねる泥も乱れる髪も
何もかもほっといて
あの瞳から逃げる。

息があがって景色が歪む
それは雨が瞳に入った
だけだから・・仕方ない
決して泣いているわけじゃない。

そんなに、弱くないんだ私は・・・

かの有名な当て馬姫が
胸の一つや二つ
下着の一つや二つ見られたからって
動揺するなんて
ちゃんちゃらおかしいのだ。

見られたからって
減るもんじゃないんだから・・・

走りに走ってなんとか
渡り廊下の入り口まで
なんとかたどり着いた。

そこで、はたと気が付く

この格好で城内を
部屋まで行くことが
出来るだろうか・・・・

雨は小降りになってきていた。

人が動き出したら見られてしまう。

減るもんじゃない・・・
そう思いながらも・・・
・・・そのまま室内にはいれず・・・
どうしたらいいかわからず
しゃがみ込んで目を閉じる。

じんわりと目頭が熱くなって
肩が震えだす
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