当て馬ならし
ソファーに腰を下ろして
時間が過ぎるのを待った
そしてこれも何度目かの
ため息をついた時

―コン、コン
静かに扉がノックされた。

気のせいか、いつもより
ゆっくりしたノック
だったような気がする

そして、「どうぞ」と
言ったと思う

耳にはゆっくり開く扉の音
ハトナがいつもの
冷静な顔で入ってきた。

たぶん、不安は空気に
滲みでていただろう

そんな私をハトナが見る
私は喉を鳴らして唾をのんだ

「晩餐会の準備をいたしましょう」
いままで見たことないほど
優しくハトナが微笑む。

あぁ・・・夢に一歩
・・・近づけた
私もハトナに満面の笑み
で答える

「ええ!」
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