当て馬ならし
「ウオッホン!!」
デザートが出てきて
食事も終わりと言う時、
わかりやすい咳払いで
背の小さな眼鏡をかけて
小太りな老齢の紳士が王の横に立った。

ピコランダ王の執事で
今後の予定を発表するという
会場内がシンとして
自然とみんな背筋が伸びる。

これから私たちは約二週間、
王子と直接触れ合って
親睦を深める。

そして最終日の前日に
ピコランダ王家の全員と
国の要人を集めての
舞踏会が開催されるという。

舞踏会と聞いて私を含めた姫たちが
色めきたった。

ダンスを大勢の前で披露して
注目を浴びる。
それが、何を意味しているか
みんなわかっているようだった。

それを受けるように
「舞踏会の翌日に、
 最終的なお答えをアル殿下がいたします」
そういって執事は眼鏡を光らせた
アル王子も真面目な顔を
更に真面目に固くしていた。
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