当て馬ならし
なんか感謝されまくりだわ
嬉しいけど・・・嬉しくない・・・
そしてさらに嬉しくない仇名が
私にはついてしまった

『当て馬姫』

従者たちは優しく静かに私を
馬車にのせてくれる
さっきまで煌々と夜を照らしていた月は
雨雲に隠されて姿も形もない

ただ重い雲が夜空を覆う

泣き出したのは、
そんな空がさきだったのか
いつもは強気な私の赤い瞳だったのか

馬車は静かに走り出す
故郷に向かって
無条件で私を愛してくれる
ファルゴアの地に向かって・・・

雨のなか馬車は進むのだった。
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