当て馬ならし
そして、目で「座れば?」
と言う感じで促す。

私はまだ突然の彼の態度の
変わりようについていけず
睨んだまま彼から目が離せず
かといって従うのもなんか
腹立たしくてできず
心を覗く余裕なんてなくて
もう、何をしゃべっていいか
分からない・・・
立ち尽くす私にため息をつくアイツ

「申し訳なかった」

突然謝られる。
全然申し訳なさそうにない言い方に
意味が分からず。
「はぇ?」
とずいぶん間の抜けた声が出た
「あんたへの言動は
 八つ当たりだったと・・・
 反省してる」
あの冷たいと思った声が
聞き覚えある響きを持ったような
気がした。
そう・・・あの日の、
初めてあった日の・・・あの声
< 168 / 437 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop