当て馬ならし
それを聞いて私はホっとした。

ここではじめてあった時に感じた
優しさは感違いじゃなかったと解って。

そして、もうあんな風に
わけもわからないまま
傷つけられることもなくなるのだ。

心底・・・
拒絶されなかった事に安心した。
私は、さっき勧められた椅子に
やっと腰掛けることができた。

「で?」
それを見ていて彼は聞いてくる。

「ん?・・あっ!!
 あの日の服装の事ね。
 深い意味は本当になくて、
 あの格好なら夜中に出歩いても
 心配されないし
 なにより、あの時は
 他国の姫達との接触で
 トラブルにならないように
 したかったの
 ある意味・・・
 私は有名らしいから・・・」
納得したという風に小さく頷く彼。
「本当に騙す気はなかったの、
 ファルゴアでは私たち
 民の元に手伝いとか行くから、
 ああいう格好も慣れてて、
 朝の稽古も似たような服装で、
 あ!ズボンだけどね。
 っていうかあなたも・・・
 司書だろうって思ったし」
「面倒だから・・・」
本音だろう・・・
王子だと侍女にいったら
面倒だって考えるのはわかる。
だから私も誤解させたままで
特に身分を言わなかった。
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