当て馬ならし
「じゃ、早速だけど・・・」
そういって
あの日のままに置いてあった
本の元に行く
きっと戻すのが、
面倒だったのだろうけど、
そのままにしてあることが
嬉しかった。

返す本はその横に置いて、
やはり一冊ずつ選んで本を抱える
「これを借りていくわ。」
すると彼は、
席を立ち奥の本棚に姿を消しながら
「適当に持ってって返しといて」

最初にあった時の彼がそこにいた・・・
弟になるかもしれない彼に
拒絶されなくてよかった。
また一つ環境が整った。

明日はアル王子とのワルツのレッスン
全力で惹きつける!

思いも新たに玉砂利を鳴らしながら
部屋に帰っていく。

爽やかな風が頬をかすめて
通り過ぎていった。
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