当て馬ならし
「でもラル様が苦手なままだったから、
 魔法でこっそりアル様のさらに
 玉ねぎを移してたらしくて」
「あーあれだ『玉ねぎ大戦争』」
丁度、王が公務でいないときに
その弟の所業が兄にばれて
『無理して頑張ってるんだ!
 お前もちゃんと食え!!!』
と切れた兄に
『食えるんだから兄貴が食えよ!!』と
食堂で二人が大ゲンカになったらしい

如何にも子供のケンカだが・・・
そこがただの子供でない
ピコランダ王国の王子である。

それこそ、体術ですでに
抜きんでていた兄を
魔法で抑え込もうとする弟、
二人で大暴れした結果

「食堂が半壊して、
 結局俺らも駆り出されて
 なんとか止めましたよ」
そういって笑う顔には、
愛情が溢れている
「そのあと、王が帰ってきて
 大目玉くらった二人は
 監視のつく中で玉ねぎ料理を
 毎日食べさせられてたよな」
ことのかわいい顛末に皆がわらって
「アル王子が首筋を凝視して
 練習に集中してなかったら、
 『玉ねぎ』って言ってみるわ」
わっはっは!そりゃいい
そんな笑いの中、朝稽古は終了。

「頑張ってくださいね」と
手を振りながら去っていく兵士たち

言われたとおり髪はアップにして
ダンスの稽古をする部屋に向かった。
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