当て馬ならし
そう、おもって彼を起こそうと
肩に手を駆けようとした時

瞳の夜色が急に現れて私を映す

その吸い込まれそうな
真夜中色に一瞬息が止まる
微かに感じる青・・・
その青をおっていつまでも
その瞳を見つめていたい
衝動に駆られる

「寝てた?」
囁くように言う彼・・・
私はあわてて出した手を
方向転換し、そばに置いた木刀を探る
「うん、こんなところで眠れる
 王子様がいるとはね?」
さっき思っていた事が自然に口に出た
起きあがりながら彼は
「毎朝、剣の稽古をする
 姫にいわれたくないけど」
「これはスタイルを維持するための
 適度な運動ですぅ」
「適度な運動で逆立ちで
 兵士と競争なのか?」
「書庫に籠ってる王子に
 言われたくない!」
とお互い自分が一般的な姫・王子像に
そぐわないことを指摘し合う
軽い言葉の応酬をしながら剣を振る
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