当て馬ならし
「クラァス様は、明日
 二度目の王子との稽古でしょ?
 仕上がりはどうですの?」
メイン料理の白身魚の香草焼きを
ほおばってその深いうま味に
うっとりとしていたところで
こちらにお鉢がまわってきた。

ここは、合わせておくべきだろう
「私もやっと振りを覚えられた
 という所でしょうか?
 明日もまたアル様の足を
 踏んでしまわないか
 心配ですわ」っと・・・
こんなもんでどうでしょう?

周りはあからさまにホッとした顔をする。
「すごいわー」「さすがですわー」とか
言ってるけど、
目が笑ってないですよ皆様。
ここにツインテールちゃんがいたら
「さすが当て馬、経験値がちがうのね」
なんてイヤミの一つも言われるだろうが、
彼女は王子のそばで
猫なで声で自国でお抱えのパティシエの作る
デザートの話をしている。
王子も笑顔を絶やさず聞いている。

無事に夕食も終わり
部屋に帰ってお風呂に入る。
< 216 / 437 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop