当て馬ならし
書庫はいつも鍵はかかっておらず
出入りは自由だった。
今までに何度かこの時間帯に
本を返して持っていくことがあったが、
ここの住人・・ラル王子とは、
その時に出会ったことはない。

さらに、今朝のハトナの話だと
夜は体を鍛えるみたいなので、
この時間に会う事もないようだ。

初日に遭遇したのは、
確かにもっと遅い時間だったし
次はあの天然さんのポーチを拾った時
で昼だった。
あと、研究所から帰った時も昼だった。

どうもこの書庫が彼の自室兼研究室
という事になっているらしいが
研究所に行ったり、
宮廷魔術師の指導をしたり
多忙なので、いつもここに居る
わけではないらしい。

昼は陽の光が入ってくるし、
夜は常に明かりがついていて
住人がいなくとも
返却時に暗くて困った事はなかった。

ということで、
住人に気を使わず遠慮なく
利用させてもらう。
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