当て馬ならし
アル王子のたくましい腕に
背中を預けると、
支えてくれる安心感は同じだけど、
もうちょっと細身な腕の
感覚を思い出す。

軽く弾めると思ったスッテプは
意識しないと前へ出ず
昨日はあんなに自然に
動けたのに・・・なんて焦る

似ている優しい瞳が、
もっと深い青でない事に違和感を感じ
もっと強く強引に手を握って欲しい・・・
と思ってしまう。

今までは、彼の中にアル王子を
見つけて嬉しくなっていたに
アル王子の中に彼を探して、
違うと傷ついている

だから・・・
アル王子がもっと
私だけを見てくれたら
そう思って、
まったくもってお門違いだと反省する。

悪いのはアル王子ではないのは、
重々知っているのに・・・
誰かに責任を押し付けたくて

でも、自分のせいなんだと解っている

あんな事になって、
動揺する自分が情けない。
まるで初心な娘みたいで、
可笑しくて可笑しくて・・・
いままで積み重ねてきたいろんなモノを
壊すような昨夜のあの記憶を
消してしまいたい。

なんで・・・あんなことに・・
流されてしまったの?

でも、彼が悪いとは、
彼を憎むことが・・・できない・・・
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