当て馬ならし
しまった・・・
あの呟きは先回りしていた
私の位置だから聞こえたのだろう

私を追ったとしても、
ジフェルより先に彼は来なかった

少なくともジフェルの後に
彼はいたのだ・・・

敵認定をしていたために
思考の中での呼び方が
そのまま出ていた。

どうして、私はこの人の前だと
迂闊になるのだろう・・・
自分の失態に唇を噛む

一縷の望み・・・
いや、本音は甘えだ・・・
彼に味方になって欲しい
と切望していたことが
やっと自覚された。

そしてどこかで、
彼も私の事を
信じてくれてるんじゃないかと・・・
期待していたのだろう・・・

「あなたこそ・・・
 どうしてここに?」
「魔術師塔に魔術師がいるのに
 なんら説明がいるのか?」
そうだった。
ここの統括は彼の仕事だった。
『今後は言動に気を付ける』
そう、言った彼はその約束を
まもって言葉は丁寧だった。
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