当て馬ならし
ただ・・・なんの熱も感じられない
その冷ややかな疑いが・・・
私を凍えさせる。

「信じてもらえるかしら・・・」

心の中でおもったものが
震える喉を通して
ボロリとこぼれ出た・・・

この能力の事をはなさず
私の出した結論を彼が信じてくれる
その望みに賭けるか・・・

彼はその声が聞こえたのか
聞こえなかったのか
無言で壁のように立ちはだかっている
無言だ、何か言わなければ
解放してくれないだろう・・・

「あの宮廷魔術師は・・・
 怪しいのではないかしら・・・」

意を決して発した割に
小さな小さな声だった

夜だが、さすがにこの話し声の内容が
ジフェルの部屋に聞こえる距離ではない

でも、他人からみれば
根拠のない発言と解ってる分
強くは発することができなかった。
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