当て馬ならし
はたからみたら、
私は長男の花嫁候補のくせに
弟をたぶらかし
宮廷魔術師に難癖付け
この国でコソ泥のように
何かを探っている
ただの怪しい小娘でしかないのだ・・・

あぁ・・・
誤魔化せばよかったのに・・・
ただの酔っぱらいって事にして、
道に迷ったって事にしていれば・・・

何故・・・嘘をつかなかったの?

でも・・・彼には嘘をつけなかった・・・

そう、あなたが私を信じないのと
私があなたを信じるのは違うのだ。

疑われていようと・・・
あなたの優しさは嘘じゃないって
信じてるから。

そう、思うと腹がくくれた。
「ラル殿下、
 私はあなたには嘘をいいません。
 私には、あの魔術師が怪しいと
 思えたので後をつけたのです」
これで、信じろとは
無理な話だと分かっていても
逆にこの話がアル王子に伝わって
花嫁候補から外されるかもしれないと思うと
何故か余計にすっきりした。
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