当て馬ならし
鮮やかとしか言いようのない
魔術の連携・・・

暗い森の中でもその夜色のローブは
深い青を湛えているのが解る

足元から湧き出る煌めく青いマナ・・・

地面から少し浮いた足元に魔方陣が揺らめく

わざわざ具現化しているのは
私に対する警告だろう

「ラル・・・殿下・・・」
分かり切っていたその声の主の名を呟く。

「わざわざ劇場を抜け出し
 なぜ一人でこんなところにいるのか
 説明願おうか?
 事と次第によっては、
 昨夜の事と合わせて
 あんたを処分することも出来る。」
最後通告としか言いようのない平坦な声・・・
見張られていたのかもしれない。
帰国命令はなくても
疑われている事には変わりがないのだから・・・

かといって、言える事は一つだ、
あなたには嘘をつかないと決めたから
そう思い口を開こうとしたとき・・・
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