当て馬ならし
彼が私に危害を加えようとしている
わけじゃないのは解ってる。

でも意味が分からない・・・
そう思ったとき

けもの道の奥から
話し声が聞こえ始めた。

「楽・・・ちょろいぜまったく・・」
下品な笑い声をあげながら
数人の男が出てくる。
山賊のような
盗賊のような風体の男たちだった。

「女どももようやく
 大人しくなったしなぁ。」
「しかし、せっかくの上玉なのに
 てだしできねーのはもったいねなー。」
1・2・・・4人いる。
4人ともこちらには気が付かない
「まぁーあと4日で
 ピコランダ王国もおしまいだ。」
その会話がはっきり聞こえた時、
私を包む腕が固く緊張する。

私は、その腕の緊張を取りたくて
そっと手を添える。
男たちは城下町の方へ
進路をとり去っていく
「旦那の指示だ・・・隠れ・・・」
「・・・今日は・・・
 金なら・・あははは」
会話続いて消えていく
あとには、
森の木々のざわめきと
遠くでなく梟の声が聞こえる。

感じるのは背中の温もりと
固く私を抱きしめた腕。
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