当て馬ならし
立ち止まったラル王子が辺りを見回す
「おかしい・・・」
「え?」
突然の呟きに聞き返すと
「何も感じない・・・でも・・・」
彼は何もない場所に手を差し出す。

そして見えない壁を
押すように力を加えた
それを見て私も同じように
手を差し出してみると・・・

岩のような感覚が手に伝わる

でも、そこには何もない
もし、この手触りの何かが
ここに隠されているのなら、
魔術的なカモフラージュが
されているという事だ。

それは、ラル王子にとっては
感知できるはずのものなのに
感じられないという事か・・・
「どうしてわかったの?」
「影がおかしい・・・」

言われて自分の足元をみると
上から月明かりがきているのに
そこには影はなかった
よくわからないけど・・・
おかしいのはたしかだ。

彼はそれを踏まえて
この見えない石壁を見つけたのだろう。
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