当て馬ならし
と、思って一歩彼へ近づいたと
・・・思ったのに・・・
ふわりと体が浮いた
「な?・・どうして?!」
深夜という事もあり声は自然と
音を含まない息だけのものになる

浮いた体が彼の元に近寄っていき、
すぽりと横抱きにされた

本日二度目の
「お姫様抱っこ」と言うやつですか?
いや、私は御姫様ですから
どう抱こうとそれは
御姫様抱っこって・・・

うえぇぇえーーーーー!???

せめて最後の意地で
声だけは出さず、心の中で叫ぶ

だから、どうしてこの人は
私を翻弄する。

そんな慌てふためく私を
彼は無表情で抱え
そのまま、飛ぶ・・・
「キャ!」
突然の移動に体が勝手に
危険を察知して、
彼の首にしがみつく
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