当て馬ならし
開けなれた扉を押して中にはいる
すっかり月明かりに慣れた目に
書庫の中は思ったほど暗くなかった。

いつもは橙の光で満たされていた空間は、
今日は大きな窓からはいる
青い月の光が漂う

机の上には5冊分の本の山が2個
・・・片づけることなく置いてある・・

扉をしめて辺りを見回しても
ラル王子の姿が見えない
机の間を通って本棚に近づいて
やっとその黒い塊に気が付いた。

本棚に背を預け床に座り込む、
膝をたててその上に両腕を載せ
顔はうなだれて表情は読み取れない・・・

丁度窓から月明かりが落ちて
・・・格子の影がまるで檻のようだった

私は能力を開く・・・
< 293 / 437 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop