当て馬ならし
「王子様ぁ・・・
 気が付かれるのが
 おそかったようですな・・・」
そうやってにたりと笑うその顔は、
 かつて憧れた聡明な魔術師の顔であり、
 あまりにも醜い欲望の満ちた顔だった・・・
「お前はこれからこの地に
 大地震を起こす魔術の大暴走を
 引き起こした元凶になる。
 それを止めるのが私だぁ・・・
 どさくさにまぎれて王族に
 止めも刺させていただくよ
 そうすれば、
 この英雄の私が王になるのだぁ」

悔やんだ時には遅い・・・
後悔しても後悔しきれない。
膨大な力の責任・・・
老魔術師の言わんとすることが
やっとわかった。

自由には責任が伴い、
大きな力を与えられたら、
それを管理する力も必要なのだと。
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