当て馬ならし
喉がちぎれるほど叫んでいた
『陣を壊せ!!!
 動け!!!足でも手でもいい動け!!
 ひとかけら砂を
 一かけら崩せれば!!!!』
ヴァレイズは楽しそうにこちらを
歪んだ笑みで視姦する
ヴァレイズは余裕だった。
この場所は秘密にされている実験室
・・・だれも気が付かない・・・

そう思っていた
・・・でも叫ばずにはいられなかった・・・
喉が焼ける・・・でも・・・・
動け!!!とひたすらに叫ぶ

『ラル!!!』

苦痛の中、
一番信頼する声が自分の名を呼んだ気がした

扉が開き、ものすごい速さで
こちらに向かってくる影があった。

部屋内は今やマナの明かりで
ホワイトアウト寸前だ、
その中を迷いなくこちらに向かってくる
・・・それは紛れもない兄の姿だった・・・

身動き取れない自分に
心配いらないと笑いかける。
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