当て馬ならし
ザシュっという縄を切る音がして
足の痛みが消えた。

手首は後ろ手に縛られたままだが
固定されているロープも外される

いひひひっと歪んだ声が響く
自由になった足を素早く動かそうとした

でもすぐに、
首筋にナイフが戻ってくる・・・

恐怖はない、
たぶん私を生かしておくつもり
ではあるのだろう

殺すつもりなら
とっくに殺されている。

「私を・・・どうするつもり・・・?」

右手のナイフは首筋に当てられ、
左手で縛られた手首を拘束される。
ここは、おとなしく従って
時間を稼がなければ。

騒ぐのは、最終手段だ。
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