当て馬ならし
身体が限界を訴えてるように
・・・重くなっていく
足を動かそうにも
一歩も動けない

あぁ・・・どうか
あの哀れな魔術師が
横たわる姫達を傷つけませんようにと
祈るかなかった

ジフェルはフラリと立ち上がり
ゆっくりとこちらを振り返った・・・
自らの血で顔面を真っ赤に染め
怒りしかないその瞳が大きく見開かれ
私を捕えた

「おい・・・そこの小娘ぇ、
 おまえは・・・おまえは・・・」
額の傷が新たな血をその顔面に流し込む
息も荒く乱れた髪がその顔にかかり
それはまるで悪魔の様だった

「死ねぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええ!!!!!」

呪詛の咆哮
指輪から溢れ出した黒いマナが
地面に無数の魔方陣を形成する

それに答える様に
その地面がボコボコを盛り上がり始める

そして、土の割れ目から
青白い腕が付きだした。
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