当て馬ならし
息苦しさに・・・「ラル」
・・・そうつぶやくと

彼は、ふっと笑って唇をはなし
私を抱きしめた

優しく、でも強引に
私は彼の腕の中に包まれる
そして
「もう一度呼んで・・・名前」
そうささやかれるお願いに
私も素直に答える
「ラル・・・おう・・・」
「王子とかいらね」
改まると・・
少し勇気がいる
でも、彼の心が今もずっと
私に甘く語りかけるから
勇気はすぐに出た

「・・・ラル」

そういうとラルは
私の瞳を覗き込む
大好きな夜色の瞳が
私を捕えて離さない

「好きだ・・・クララ」

それは・・・ずるい・・・
・・・・甘く・・・
私をどこまでも甘やかす声が・・・
私の愛称を愛おしそうに呼んだ

名前一つでこんなにも
心が幸せになるなんて。
夢が現実になる・・・
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