当て馬ならし
ラルとハトナは、兵の派遣の結果報告を
魔術師塔でまっていたので
その異変をいち早く感知した。

「光る地面を前に、
 ラル様が『竜が・・・飛んでいく』と
 言って空を見上げたんです」
それは、ファルゴアの竜が
私を助けてくれた時の事だ
ベルと目を合わせてうなずきあう。

「光が消えた後、ラル様はすごい勢いで
 魔方陣を展開されました。」

中庭全体に広がる魔方陣の
数は大小合わせて10個を超えていたらしい。
いろんな魔法を一気に展開し、
私の場所をさぐり、
そこに空間移動するための
術式を完成させる。

魔方陣の同時展開の魔力消費は
尋常ではない。
ラルでなければ、即座に昏倒する
量の魔力があたりを包む。

一気に流れ込む情報量も半端ではい。

でもそれをラルはやってのけた。
さらに彼は無茶をした。
空間移動は記憶に由来する
記憶された場所を正確に思い描くことで
その場に移動する。
目視できれば簡単である

それを、ラルは人物を
目標に飛ぶ最も高度な空間移動を
しようとしていた。

それは相手の事を強く想い、
正確にその人物を思い描き
自分をその人物のいる
空間に着地しなければ
時空に飲まれる

のまれれば、
さすがにラルと言えど
生きてはいられない。

危険な副作用を待つ術式だった。
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