当て馬ならし
出迎えの人々は
次々に入ってくる姫たちの名乗りに
頭を下げているが
とにかく人が多い。

大人数でやってきている国もあるし
ピコランダ側のメイドさんと
はぐれたのか、行き先がわからなくて
立ち往生している姫もいる。

さっき、
ピコランダ側のメイドさんの
話を小耳にはさんだけど
なんと参加人数は20人を超えてるらしい。
大国とはいえ20人以上の姫を
受け入れるなんて、
さすがとしか言いようがない。


「ファルゴア王国王女
クラァス・レィ・ファルゴア様ご来城ぉ」

響き渡る声にその場がすこし静まった

私は胸をはり
一度正面を見据えて
足をそろえて立つ
それからゆっくりと
瞳と同じ色の
真っ赤なマーメイドドレスの
裾を少し上げて会釈した。

微笑みをたたえて顔を上げる

誰もが息をのむのが分かる
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