当て馬ならし
綺麗に強調される胸には
輝きを放つダイヤのネックレス
銀の髪は後ろで束ねてあげている、
そこには
赤い薔薇をモチーフにした髪飾り
その髪飾りから目の粗いレースが
顔の横のラインまで流れて
憂いのある影を落とす。
踏み出す足元には銀色のヒール
光を受けると
キラキラと輝く石で埋め尽くされた
その先が赤い絨毯に映える。

この空間中が私を見つめている

そこを堂々と歩いていく
ここからもう勝負は始まっている

そして想定内の呟きが聞こえてくる

「当て馬姫が来た」
「あれが当て馬姫よ」

ざわざわっと広がるその声に
私は屈しない!

だって、私に圧倒されてるような人の
当て馬になんかならないから

そう、
今度こそ私が本命になってやるんだからね
そんな気持ちを込めて
当て馬とささやいた輩に
余裕の微笑みを返す。
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