当て馬ならし
なんどもその手腕に助けられる、
尊敬の眼差しでタシーを見ていると
お仕事の顔に戻って
「さて、今夜の夕食は趣向を変えて
 演奏会を劇場で聞きながら
 という事です」
ドレスをハンガーに掛けながら
移動していくタシー。
え?
「劇場?」
視界から消えたタシーに
むかって問いかける。

戻ってきたタシーは
私の髪を解きながら
「ええ!ピコランダの
 城下町にある劇場を
 2日間貸し切って
 ディナーと素敵な音楽で
 馬車旅で疲れた姫君を
 ゆったり癒したいという
 おもてなしですって。
 お席は各国専用の個室です、
 要人対応ですよ。」
劇場・・・
貸切・・
ディナー・
演奏会♪
私とタシーは想像して
同時にため息と共につぶやく
「「すてきぃ~・・・」」
ファルゴアでは決して体験できない贅沢と
お洒落な趣向に胸が躍る
タシーはわざとらしく
「シー」っという歯の間から息を吸う音を立てたあと
棒読みで続けた。
「というのは、たてまえで・・・」
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