当て馬ならし
やっと、自分が何で
問い詰められているのか理解した様で

「聞かれていたんですね・・・」
と逃げ腰だった態勢をといて
力なく立ち尽くし、俯く彼女
「お節介とは思うし、
 はっきり言ってライバルは
 一人でも減ったほうが嬉しいわ。
 でもわざわざ時間を作ってくれた
 この国に対し約束を破って
 いいわけないでしょ?
 あなただって、背負う国が
 あるんじゃないの?」
ローブの胸辺りについている刺繍が
とても豪華なので、
どこかの王室のエンブレムでると
判断した私はそのエンブレムを
トントンと指で示す。

「私は・・・国では・・・
 一番美しくなくて・・・
 勉強しか能がなかったから・・・
 このまま結婚とか考えてないで
 ずっと研究とかできたら・・・
 って・・他の国の方たちは
 みんなきれいで・・・あなたも、
 とてもきれいで強くて・・・
 優しくて・・・そんな私が
 ・・・とか・・・」
ぶつぶつという彼女の心は
不安や劣等感、混乱が渦巻いていた。

ただ、その奥にある憧れや
少女のように夢見る
かわいい部分がみてとれた。

ここにやってきたのは
決して強制されたからだけじゃない
というのが分かった。

「でも・・・
 ここにくるって選んだのは
 自分・・・でしょ?」
その言葉に彼女はビクッと震えた
その瞬間、
彼女の中にある強さが
頭を持ち上げたのが分かった。
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