当て馬ならし
すこしづつ混乱が収まってくる。

「あの・・・
 勉強ならどこだってできるし、
 もしピコランダの為に
 私の力が役にたつのなら・・・
 私、こんなですけど魔術の研究は・・・」
なにかを必死に思い出しながら言う
彼女の口を人差し指で抑える。

「シッ・・・それは王子にいえばいいでしょ。
 それにちょっときなさいよ」
鏡の前に彼女を連れて行く
すっかり乱れてしまった髪の分け目を
変えておでこのたんこぶを隠すように
前髪を流す。

ポーチに入れておいた
ブラシで髪を梳く。

「あんた、ハンカチって持ってる?」
あわててローブのポケットから
黒いハンカチが出てきた。

髪を適当にアップにしてまとめる。
ハンカチをお花のような形にして
髪に止めると黒いドレスを着た
落ち着いた神秘的な姫が現れた。
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