当て馬ならし
タシーがいればもっと完璧なのになぁ
自分の未熟さに
ちょっと悔しがっていると・・・

鏡に映った自分を
彼女がびっくりしたように触ってる。

「わたし?・・・こんな?
 わたしなの?」
純粋な子なんだなって分かる
さっきまでの混乱は落ち着き、
不安は残るもの心に余裕ができたみたい。

それが可笑しくて笑いながら言う
「あんたはあんたでしょ?
 ほら、結構時間食っちゃったわよ、
 早くいかないと王子がきちゃうんじゃない?
 これを元に御付の人に
 ちゃんと手直ししてもらいなさいよ!」
そういうと彼女はあたふたし始める
「ご飯の途中で耐えられなくなって・・・
 抜け出してしまって、
 だからまだ時間はあると思います
 ・・・あの・・・ありがとうございます」
あはっ、この娘の好感度あがっちゃったよ。

「あ!そうだ・・・」
私は彼女が着ていたローブを
脱がして手に渡す。

「これを着るのは帰るときよ!
 その細い白い肩は見せてなんぼだからね!」

そういってお手洗いをでると
彼女も着いてくる。
自分の個室に帰る決心はできたようだ。
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