当て馬ならし
そして私は持ってきた服の中で
一番ゆったりというか
楽というか、
夜の城内を歩いていても
あまり目立たないというか
地味で姫とは思えない服装
に着替える。

ちょっとした変装である。

白い木綿地のひざ下丈のワンピースで
胸元もきっちり編上げのリボンで
閉まっているし、
袖も七分のゆったりしたシンプルなものが
ついているだけで、
模様は赤いステッチだけ。
これに、
茶色と灰色の薄い布を組み合わせて作った
ショールを羽織る。

髪は簡単にくるくると
頭のてっぺんでお団子にする。
お化粧もしないでおでこも全開
これであれば、
他国の姫にあったところで
侍女とおもわれるだろうから安心
お城の中なら、誰彼かまわず誘う
たちの悪い酔っぱらいに絡まれる
なんてこともないでしょう。
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