当て馬ならし
態度から感じる冷たさを
心からは感じない。

しつこくし邪魔しなければ
協力はしてくれるタイプの人かな?
と思う。

きっと、頭がすごくいい人だろうから
きちんと要点を伝えればいいはず。

「ピコランダの伝記や
 英雄譚などが書かれたものと、
 短編で物語が書かれているものを
 探しています。」
彼はすっと立ち上がる
「何冊」
「お借りしてよろしいのなら1冊づつ」
「座ってろ」
低い声はすこしハスキーに空気が混ざる
この書庫に溶けるように響いた
彼は棚の奥へ消えていく
カツカツと迷いのない足音が聞こえる、
時々止まる足音。
本を取っているのかな
たいして時間をかけずに
目の前に10冊の本が並んだ。

うお、伝記ぽいものと
物語と思われるものが5冊ずつ
「ここに置いておくから、
 適当にもってって適当に返して」
そうぶっきらぼうに言って
また本を読み始める。
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