当て馬ならし
「そして、この祭りはある時
 名前をかえるの」

相槌や、時々気になった言葉を
聞き返すなどして聞いてくれてた
彼が問う
「祭りが名前をかえるのか?」
確かに他の地方にこんな習慣
めったにないだろうな。

平和なファルゴアだからこそ
できる祭りだと思う。

彼の疑問に大きく頷き
「『竜狩り祭』になるのよ。」
彼はすこし怪訝そうに言う
「りゅうがり?狩る?狩猟か?」
私もわざと怪訝に
「そう、今まで鍛えてきた竜を
 我らがファルゴアの姫が
 捕えるのよ!」
架空の弓をつくり
その矢を彼に飛ばすしぐさをする。

彼も小さく心臓に矢を受けたという
リアクションをしてくれる
なかなかノリがいい♪

ふふっと笑い会って種明かし
「ファルゴアの王位継承者が
 女の子だった場合」
本当は土地の魔力で
女児が生まれてくるのだけど、
それは他国ではあまり理解されないので
こんな説明をする。
「その姫が婿を選ぶんだけど、
 その婿選びをこの祭りでやるの。
 つまり狩人は王女様で
 狩られるのはその年の最強の証
 『竜人』を手に入れた人って訳」
あっけにとられている彼。
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