[ショート] -The moon of night-
いつだって姉貴は俺に、おせっかいを焼いていた。
自分はお前より年上なのだと、いつだってそういう態度で俺に接してきた。
だけど、今は違う。
姉貴は無防備な、ただの女。
俺が壊そうとすれば、簡単に壊れてしまう。
ガラスのように。
姉貴のもっと、色々な顔を見たいと思った。
泣く顔も。
笑う顔も。
愛しそうにする顔も。
乱れる顔も。
俺だけに向けてほしいと、何度願っただろう。