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僕には、遠い外国のことのように聞こえた。

ハルはいつもしっかり者で、明るくて、とても優しい女の子だった。

引っ込み思案で、隠れるようにしていた僕にも優しくしてくれる、僕の秘密の天使だった。

あんな明るい子が、家で親に死ねとか怒鳴られて、声を押し殺して泣いているなんて、僕には想像もできなかった。

その後も両親の話しを盗み聞きしたことが何度もあったけれど、ハルの父親が怒鳴る理由は理不尽なものだったり、特に理由もなかったりしたようだ。
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