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「その男のこと、まだ好きなの?」

「もう好きじゃないよ」

「本当に?」

「本当にもう全然好きじゃない」

ハルには、ハルが泣きながら話し始めたんだって言ったけれど、本当は僕が泣かせた。

その男のことを好きじゃないって言葉を何度も言わせたくて、しつこく聞いたからだ。

甘やかしたいとか思っているのに泣かせるなんて、僕も最低な部類と言える。

それなのに、僕は次の日、酔いが醒めたハルに同じことを聞いて、「好きじゃない」って言葉を聞いて満足した。

だいたい僕も、今まで付き合ってきた女性から見限られたのが「しつこくて嫉妬深い」からなのに。

きっと「しつこい」のも「嫉妬深い」のも一生治らないと思う。
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