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ハルの会社の下には9時少し前に着いた。

律義な彼女のことだから、きっとぴったりの時間に下りてくるに違いない。

特に連絡は入っていないから、時間に変更もないだろう。

そんなことを思っていたら、時間より少し前にハルは自動ドアを開けて出てきた。

「やっぱり、もう来てた」

ハルは少し怒ったように言った。

「たった今来たところだよ」

「嘘だ」

「ホント」

そう言いながら僕が手を取ろうとしたら、ハルはスッと身を引いてしまった。
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