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少し冷静になって考えても、朝普通に出かけて今こうなっているということは、会社で何かがあったということだ。

全然わからない。

もう一度チラッと盗み見る。

そんな一途な瞳、やっぱり思い違いとは思えない。

本当に、君はわかりやすいね。

とりあえず、僕の方を向いてくれたということだろうか。

すごく嬉しいはずなのに、疲れて頭がスカスカの僕には、まだちゃんと判断ができない。

一概に喜んでもいられないのでは?

本当の意味で、君は僕の方を見てくれてる?

まだ、君はそういう段階ではないだろう?

「もしかして、すごく疲れてる?」

「え、ああ、うん。そうだね」

僕は柄にもなく動揺していた。

そんな小首を傾げて、うっすら頬を染めて言われたら、誰だって落ちるだろう。

「ごめんね、疲れてるのに。大変な日なのに迎えに来てもらって」

「僕が来たくて来てるんだから、いいんだよ。何度も言ってるでしょ」

「うん、ありがとう」
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